海外滞在中の子供の教育

子どもを伸ばす「親力アップ法」

この記事で書かれていること

Question

好きなことは一生懸命やるけど、それ以外にはまったく取り組む様子がありません。これでは帰国後の学校での勉強が心配です。

Answer

“好き”があるのは強み進学にも有利な時代に
帰国後の学校での学習は、海外赴任中のご家族にとって大きな課題ですね。日本在住の生徒たちは受験を経て進学している中、帰国後ついていけるのかどうか、不安も大きいと思います。ましてや今の学校でも学習がはかどっていないとなると、心配になる気持ちも理解できます。

とはいえ、学校の学習に集中して取り組めるかどうかは、帰国生の親だけではなく、親として共通の悩みです。受験を終えて一息ついている子どもたちはむしろ反動で遊んでしまったり、目的を失っている場合もあります。受験後も前向きに取り組んでいるのは、受験がゴールではなく、目標を持って進学した生徒たちです。
大事なのは、目標ややりたいことへのモチベーションがあるかどうか、ということなのです。

Advice

日本の教育システムに新たな動き
今までの日本の教育システムにおいては、中学高校では教科学習が重視され、大学受験でも学力が重視されてきました。しかし今、新たな動きが始まっています。

『OECD』加盟国間で行われる『PISA』という15歳児の学習到達度調査は、「学校のカリキュラムをどの程度習得しているか」ではなく、「これまでに身に付けてきた知識や技能を、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを測る」(※1)ものであり、「思考プロセスの習得、概念の理解、及び様々な状況でそれらを生かす力を重視している」ものです。

そして、2003年の日本の調査結果からは「授業を受ける姿勢は良いが、学ぶ意欲や学習習慣に課題」(※1)があるとされています。こうした国際的な調査結果が契機となり、昨年1月には『教育再生実行会議』が発足。様々な提言(※2)をしています。その中で、教育の質の向上のために、「生徒が能動的に学び自己を確立できるよう、キャリア教育を充実」し、「生徒の多様性を踏まえた学校の特色化」をうたっています。また大学は、「学生の能動的な活動を取り入れた授業や学習法、双方向の授業展開など教育の質的転換を図る。また、個々の教育課程やその体系を徹底して公開することにより、教育内容や教育方法、成績評価基準等が外部からも見えるようにする」ということです。

能動的であることが大切
これらが意味することは、「各生徒が早い段階で個性を生かし、能動的な学習を進められる環境づくりが必要である」と解釈できます。

大学入試についてもセンター試験が5年後を目途に廃止される見通しで、「知識偏重の1点刻みの選抜から脱却できるよう」(※2)、達成度テストを複数回受験できる仕組みが検討されています。今の日本の大学生はアメリカの大学生に比べると、日々の学習時間が圧倒的に少なく(※3)、大学は学習する場というよりはサークル活動や人脈を広げる場となっているようです。ですが、これらの情報をもとに考えると、大学が本来の学びをする場となり、逆に目的意識の低い学生にとっては最後まで全うするのが難しくなるかもしれません。また、子どもたちは知識偏重の学習ではなく、自分自身の興味から問題意識を持ち、それを解決していく方法を見出す力が必要となってくるでしょう。

つまり、「自分自身の興味から」というところが非常に大切な部分となってくるのです。お子様が今やりたいことばかりやっているプロセスの中には「自分自身の興味」やそれに関する問題解決をしていく経験が必ず含まれていると思います。またとない学びのチャンスを存分に活かせるように是非その芽をつぶさないでほしいと思います。

エドビジョン型PBL
このような自発的な発想を尊重する教育方法として「エドビジョン型PBL(Project Based Learning)」が現在注目されています。アメリカのチャータースクールであるミネソタ・ニューカントリースクールで開発された学びのスタイルで、「自分たちが興味を持つものの中からプロジェクトを立ち上げ、計画を立てて、振り返りながらゴールに向かう。これを通して学びを深めていく」というものです。

青年期は発達段階の一つとしてアイデンティティの確立が大切な時期といわれていますが、そのためにも、自発的な欲求を周りの人に認めてもらうということがこの年代では必要であり、それが本人の意欲を促進し、能動的な行動へと結びつきます。この学びのスタイルを実践している学校では一般の公立学校と比較して標準テストの点数もよかったという報告もあるようです。
学習全般に対する意欲にも影響が出てくるということなのでしょう。

わからない箇所から再挑戦
さて、このように、今やりたいことがある、ということのプラスの面を見てきましたが、お子様が学習に向かうことに否定的になっていて、そこから回避するために他のことに向かっている場合は、今やっていることを認めつつ、なぜ学習が嫌になっているのか、という部分にも目を向ける必要があります。これは学校に通って一斉授業を行うという形ではフォローが難しいですが、自宅学習の中でわからなくなったところからやり直す、ということから突破口が開けると考えています。

本来人間は「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」という3つの本能を持っているといわれています。まずは本能を邪魔している要因を考え、取り除けるものは取り除いてみましょう。また、やりたいことで意欲を増して、それをさらに充実させていくために必要なことは何かを考えさせてみましょう。
“与えられた”学習よりも、きっと前向きに取り組めるようになるはずです。

※1…「文科省HP 国際学力調査」

※2…「教育再生実行会議提言」

※3…「学生の学修時間の現状」

諏訪久美

東京インターハイスクール
諏訪久美

幼少期と中学時代に親の海外赴任に伴いアメリカ、ドイツに滞在。慶應義塾大学法学部政治学科卒。
外資系コンピュータメーカーでSE、営業職を経て、現在は『東京インターハイスクール』学習コーチ。
NPO生涯学習認定「キャリア・コンサルタント」。

東京インターハイスクール:東京都渋谷区にある通信制インターナショナル・スクール

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