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池上さんブームの幕引きは正解

 
 
 
 
去年の夏 アメリカから3年ぶりに帰国して 驚いたのは、
かつての同僚、池上彰さんが 大変なブームになっていたことです。
 
 
年末には 池上さんの一言が 流行語にまでなったことを知り 
さらに ビックリしました。
 
 
どうやら  フリーとなった池上さんは 
我々がアメリカ滞在中に 活躍の幅が  大きく広がった模様。 
民放各局で 自らの名前を冠した番組を持ったり、たくさんの本を出版されたり、
週刊誌にも 池上さんに関する記事が いろいろと特集されたりと 
池上さん人気は ここ数年で 急上昇したようです。
 
 
 
在局時代は 「週刊こどもニュース」のお父さんとして それなりに知名度はありましたが 
せいぜい「 あの お父さん役の人 」というぐらいで 
池上さんの名前を 知っている人は ごく一部の お年寄りだけでした。
 
 
 
 
なぜ お年寄り?
 
 
 
 
実は 週刊こどもニュースは こども向けに開発された番組にも関わらず 
フタを開けてみれば 視聴者は 高齢者ばかりという ミスマッチ番組でした。
局内でも 「 こどもが見ない、こどもニュース 」と 揶揄されていたものです。 
しかし ソフトな池上さんの語り口と ゆっくりとした展開は 全国のお年寄りたちに
大変好評で 着実に 人気番組としての 地位を築いてきました。
そして マスコミサイドは この現象により 子供だけでなく 実は大人も 
意外に ニュースを理解できていない、解説を必要としているということが 分かってきたのです。
 
 
 
とはいっても 今の 池上さんブームは 例えるならば 実力派・演歌歌手であるものの 
一部の 熱狂的なファンがいる程度の 地味な存在だった池上さんが
いきなり ポップスター扱いされているような 違和感。
 
 
 
帰国して すぐに向かった本屋では なんと 池上さんコーナーがあり、
ずらりと並んだ 「そうだったのか!」シリーズの本の山と 
あちこちに 貼り付けられた 池上さんの顔写真を見た時には かなり驚きました。 まるで 韓流スター!?
 
 
 
こちらは その中の一冊、
どんなものかと買ってみた 「そうだったのか! アメリカ」。
 
 
 
 
イメージ 1
 
 
 
この本は 端的に言うと アメリカの歴史を まとめたものです。
 
 
しかし これを アメリカの建国から 歴史の教科書風に 延々と解説しないのが
池上さん流であり 一般の人に 「わかりやすい」と 広く受け入れられる理由でしょう。
 
 
 
目次の一部を ご紹介します。
 
 
第1章   アメリカは宗教国家だ
第2章   アメリカは連合国家だ
第3章   アメリカは「帝国主義」国家だ
第4章   アメリカは「銃を持つ自由の国」だ
第5章   裁判から見える「アメリカ」     ・・・・
 
      
内容は 多少 アメリカに 関わったことのある人間なら 
誰でも 知っているような 事実ばかりなのですが 
それを 最近のニュースと結びつけることで 実に うまい語り口で 
興味深く 解説してくださるのです。
 
 
 
例えば 第4章は アメリカが 銃社会として発展してきた歴史と 現状を 解説したものですが、 
それを、ハロウィンに 撃ち殺された服部君の事件から 話し始め、
なぜ こんな事件が起こったのか その後の裁判はどうなったのか、なぜ 被告は無罪となったのか、
そして これだけ 銃による 事故や事件が多発しているのに 
なぜ アメリカでは まったく銃規制が進まないのかなど、 
読者の「 なぜ? 」という心理に沿って 
歴史や ほかのニュースを交えながら 簡潔に答えられていきます。
 
 
 
この本は アメリカを理解するのに役立つ知識が コンパクトにまとめられており
これから 駐在などでアメリカに暮らす予定の方は 予備知識を仕入れる上でも 
是非 読んでおいていただきたい一冊と いえるでしょう。
 
 
 
しかし かつての同僚なら誰でも知っていることですが 池上さんは 社会部出身の記者です。
社会部とは 主に 警察の記者クラブに所属し、事件や事故、災害などを専門に取材する部署。
つまり 池上さんは アメリカに取材に行ったことはないし 
ホワイトハウスに 取材者として立ち入ったことは ありません。
もちろん 有名大学を卒業されていますが、英語が特別堪能というわけでなく、
たぶん ご自分で直接アメリカ人を取材したことは ないでしょう。
ですので この本には 記者としての 実体験は まったく書かれていません。
 
 
巻末には 膨大な参考図書が列挙されていますが いずれも 翻訳本であり 
原書は 一冊もありませんでした。
 
 
つまり 池上さんの本は ちまたにあふれる膨大なアメリカ関連の本を読み 
それを 一般の方にも読みやすく 再構成してくださったもの、というわけです。
 
 
この集英社の「そうだったのか!」シリーズは 
現代史、現代史パート2、日本現代史、中国、などが発行されています。 
さらに 他社からも ニュース、政治、歴史、宗教など 
さまざまなジャンルについて 解説した本が 次々に発売されています。
 
 
イスラム教や 世界の国々の権力構造について 大胆に解説した本もあり
説明しづらい現象に ガッツリ正面から向き合う姿勢は すばらしいと思うのですが、
これだけ 多岐にわたるジャンルを 一手に引き受けて 大丈夫なんだろうかと
他人事ながら ちょっと心配になったのも 事実です。
 
 
 
というのも 特に 国際情勢に関しては それぞれの国について 専門家が たくさんいます。
記者の世界でも 国際部では その国の事情や 言語に 大変詳しい方が 
現地に駐在したり 出張で出向きながら 熱心に 研究、取材されています。
 
 
ただ こうした記者や学者の方たちは ともすれば 専門的すぎたり 
その国に 感情移入しすぎて なかなか 一般の人が疑問に思うようなことに 
端的に 答えることができません。
 
 
 
また 情報に正確であろうとすれば するほど 
・・・など、・・・という場合も考えられる、、
・・・も・・・も・・・もある、・・・という人もいる、
・・・という見方も 出てきている、など、
たくさんの情報量を 盛り込もうとしすぎて かえって 核心がボケてしまうことが あります。
言い切ることで 例外や ほかの見方があることを 切り捨てるのが 怖いのです。
 
 
 
それを 池上さんは 専門家ではない強みで 
「 アメリカは宗教国家なのです 」と 言い切るわけです。
 
 
 
過去には ヨーロッパで迫害されてきた宗派の人たちが 流れ着いた国です。
現在でも イスラム教を 排除する動きがある一方で 
イスラム教のモスク建設が 実質許可されるような判決がでるような国でもあります。
宗教の自由を固く信じている人も多いし、いろんな宗教に対しても 寛容な側面はあります。
(不勉強ゆえに アメリカは 宗教の自由が認められている国だと信じている おめでたい人もいますが)
 
 
 
しかし 実際には アメリカは バリバリのキリスト教国家です。
 
 
 
明言されていませんが クリスチャンでないと大統領になれない国です。
プロテスタントでない大統領が誕生しただけでも 大騒ぎでした。
神を信じないという人もいますが 
アメリカ人の価値観は めちゃくちゃ キリスト教の精神に基づいています。
自由でカジュアルですが アメリカの文化は キリスト教に 深く根ざしているのです。
 
 
多くのアメリカ人は ( 保守派と分類される人々ですが ) 
ロックは 神を冒涜する悪魔の音楽と信じているし、
人間は 神が作ったもので ダーウィンの進化論など とんでもない思っているし、
同性愛者は 地獄に落ちるべきだと思っているし、
中絶を実施する医師は 殺されても仕方がないとまで 思っています。
 
 
 
もちろん そう思っていない人はたくさんいます。 
まったく 反対の考え方を する人もいる。
 
 
 
 
しかし 現在のアメリカにおいて どちらの考え方が 影響力を持っているか。
そこに焦点を当て ばっさりと 「宗教国家である」と言い切ることができるのは
やはり 池上さんの勇気と 潔さであり 
現場に行かなくても 膨大な資料を読み 解析してきた実績と 
ジャーナリストとして ニュースを最前線で見てきたという自信が あるからでしょう。
 
 
細かく解説するのではなく むしろ ざっくり まとめてしまう。
池上さんは そうした才能にたけた これまでにない すばらしいジャーナリストだと思います。
 
 
 
しかし 先にも述べたように 
わたしは 最近の 異常なまでの池上さん人気に 違和感を持っています。
 
 
 
いくつかの番組を ちらっと 見たことはありますが
大勢の芸能人が ずらりと並び、 ちょっとでも わからないことが あれば 
なんでも かんでも 「 池上さん 教えて 」!
 
 
そして 「へぇ~~~」、「ほぉ~~~」と やたら感心する。
大の大人が そんなことも知らんかったんかい!?と 
本来なら恥ずかしくて 聞けないようなことでも 
「 おバカタレント 」という人たちを使うことで どんどん池上さんに質問し、
解説してもらう。
 
 
確かに 今の世の中は複雑で 情報があふれていて わからないことがたくさんあります。
 
 
今 どうして エジプトが あんな騒ぎになっているの? とか
ムバラク大統領って どういう人なわけ? とか、
霧島が 噴火しているけど 
日本に 近々噴火の可能性がある火山は 一体いくつぐらいあるんだろう?とか。。。
 
 
 
 
でもサ、
 
もし 自分で 疑問に思ったことが あるのなら
大人だったら 
ちょっとは 自分で調べようよ。
 
 
 
 
中には 中学や 高校で習ったことも たくさんあるんだから 
少しぐらい 自分で思い出そう努力してみたり
当時 勉強が嫌いで やらなくて 
「世の中の基本的なことを知らないまま 大人になってしまった」という人は 
そのことを恥じつつ 今こそ 自分で 勉強し直してみようよ。
 
 
 
インターネットがあり 個人でも いろんな情報が手に入れられる時代。
なにも原稿や論文を書くように 正確な情報を入手して まとめなくてもいいけれど
自分の中に沸いた疑問に対して 自分なりに 答えを探してみるという作業は
大人として 最も 基本的な 生きる技術ではないだろうか?
 
 
なんでもかんでも 人に聞いて それで解決してもらおうという 
この池上ブームに代表される風潮は 大変 危険だと思う。
 
 
このまま池上さんが 降板せずに いろんな番組に出続ければ いずれ 飽きられ、
今のような 人気には 陰りはでるかもしれないけど その一方で ますます 
池上さんのような便利な人に なんでも教えてもらおうという風潮は 助長されるでしょう。
そうすると 日本人は いい加減 自分で判断できない 自分で考えられない人が多いのに 
ますます アホになってしまう・・・。
 
 
 
まずは 「どうしてかな?」と 疑問を持てるだけの 発想力と想像力を持とう。
そして そこから 自分で 考え 調べてみよう。
次に 関連する本を 探し出し 読んでみよう。
 
 
 
 
自分で調べたことは たとえ 正解にたどり着かなくても 
その過程は 人生の財産になるはず。
 
 
 
 
わたしは 自分の子供にもそう言いたいし 
自分自身も それが実行できる人間でありたいと思います。
 
 
 
 
追記: ちなみに私と池上さんは 個人的な知り合いでは全くございません。
    残念ながら 現役時代 一緒にお仕事をさせていただいた経験もありませんので 
    そこのところ あしからず~。
 
 
 
 
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主婦ジャーナリストがホンネで綴るNY郊外の駐在生活。爆笑記事から泣ける記事まで アメリカと日本の「今」が分かります。

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