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大学予算の大幅削減

国立大学を巡る情勢がいよいよ厳しくなっているようだ.
*概算要求の一律1割カットについて
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100727-OYT1T00959.htm
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201007/2010072400046

そもそも,高校授業料完全無償化,けれども文科省の予算は削減.小・中学は日教組の力が強いので,行き着くところは大学予算の大削減というのは当然の成り行きだ.
政府が,高校の義務教育化を進める一方で,研究開発の縮小と,低所得者に高等(大学)教育の門戸を閉ざすという方針だから仕方無い.

これまでも段階的な予算削減で,既に国公立大学では出来る限りの歳出削減が進められてきた.そして,今回の大型予算削減でさらに追い打ちをかけられると,遂に人員削減が必要となる可能性は高い.僕の勤める研究所も国立の大学院大学組織の一部であり,広い意味では大学だから状況は同じだ.

しかし,一般の国立大学教員・職員は準公務員であり,解雇することは出来ない.
従って,人員削減の対象となるのは任期付き雇用の助教や研究員などの若手研究者だ.
そして,僕も任期付き研究者の一人だから,当然この対象となる.

一方で,正直なところ,博士号取得者の大就職難という近年の状況下で,研究職を勝ち得た人のほとんどは極めて優秀だ(僕は全くそれほどでもないけれど).
もし,この優秀な若手研究者たちが,一斉に職を解かれることになればどうなるだろう.

答えは簡単で,海外に職を求めるのみだ.
元来厳しい情勢の中で職を得てきた人は,国際的に活躍してきた人が多い.そのような人にとっては,職を求めるのに国境は無い.もちろん,日本は居心地が良いけれども,国内に職がないならば外に求めるしかない.
僕ぐらいのレベルの研究者でも,当然そう考える.

もちろん,これはこれでなかなか大変な事だ.
今こうして海外の大学に身を置いてみると,極めて優秀な一部の研究者を除くと,こちらでやっていくためにはコミュニケーション能力が最も必要とされることが分かる.だから,幾ら一流の論文が沢山あっても,英会話能力に相当磨きをかけないとこちらで職を掴むのも難しいだろう.でも,それは,何とか出来るかもしれない範囲の難しさだ.

この大規模な予算削減が続けば,恐らく東大紛争の時のように優秀な研究者ほど海外へ流出するだろう.過去の例から言えば,一度去った(優秀な)研究者はほとんど帰ってこない.だって海外の方が待遇は圧倒的に良いから.一昨年の日本人ノーベル賞受賞者も4人中2人はアメリカ在住だったように.
結果として空白の世代(失われた10年世代のように)が出来るかもしれないし,それは長い将来にわたって禍根を残すだろう.継承できなかった知を取り戻すのはとても大変なことだから.文革後のあの国のように.

さて,僕も残り数年の任期を考えると,そろそろ真剣に身の振り方を考えねばならない.
任期切れで雇い止めになったら... 実家に帰って農業をやろうかな(あれ?).

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若手(後期)研究者の海外生活

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