アルコムのhappaさんのエントリのリンクでボリンジャー先生、そして宝島社の『欠陥英和辞典の研究』問題について辿っているうちに、興味深いウエブサイトにめぐり合いました。
明治大学の教授である山岸勝榮先生という方で、多くの英語関連の辞書の編集に携わっているようです。アメリカに来てしまっていて、恥ずかしながらお名前を拝見するのは初めてでしたが。
このサイトは情報量が豊富なので、まだ本の一部分しか見ていないのですが、次の読売新聞への寄稿はその通りだと思いました。
いわゆる「和英辞書」の(現時点での)課題、そしてこの「和英辞書」に盲目的に頼った英訳への警鐘です。
例えば、「恥じらい」という訳語を和英辞典で引くと「shyness」、「bashfulness」、「embarrassment]というマイナスのイメージの訳語が並びますね。でも「恥じらい」の持つプラスのイメージの訳語がないと著者はいいます。
他にもいくつか例を挙げた上で、最後にまとめます。
明治以降、「受信型」英語学習を続けてきたわが国も、最近は日本人と日本文化をより良く、より正しく理解してもらうことに力点を置いた「発信型」にもなりつつある。
日本文化に根ざした語句の英訳はどうあるべきか、それらは英語文化ではどう響くのかといった観点からの研究がさらに推進され、日本の姿を正しく伝えるのに役立つ和英辞典に結実していく必要がある。
より優れた和英辞書の登場に期待しながらも、同時に英語の使い手である我々も精進が必要でしょうか。
単なる「訳語=言葉の置き換え」ではなく、松本道弘先生が書いていたような「シンボル」、あるいは最近私がよく思う「コアなメッセージとそのメタ(背景・理由・心情など)の部分」をより正確に、より分かりやすく伝えていけるのか。