かーしむかーしむ

夫は自分からあまりお話しない。
結婚前から、そうゆう人。

ごはんの時も、ソファーでくつろいでる時も、外食の時でさえ、

私が一方的にバーっと話しているのを、

たまーに相槌を打ちながら、ただただ聞いている人。

まぁたぶん50％くらい聞いてないんだけど、それでも私が話してすっきりすれば問題ない。
夫もそんな私の性格を知ってる。

でも、あまりにも話さないので、

「たまには何か話してよーォ」と催促してみると、

「むかしむかし、あるところに…」と、よくわからない作り話を始めたりして苦しそうなので、

「あ、話すことないのね、いいよ無理しなくて…」と諦める。

でもでも、たまーーに、彼の中の何かにピンとくる話題になった時だけ、

深ーい深ーいハッとするような返答をしてくる事がある。

普段ほとんど話さない分、言葉に重みがある。

例えるなら、
彼の心の中には何か金属でできた宝箱が入ってて、
たまーーーにちょこっと開けて中身をみせてすぐ閉じる感じ。

めったに開けない宝石箱にはどうやらキラキラしたものをお持ちのようで、

おー、いいもの持ってるじゃん。と思う。

我々に夫婦の会話らしきものはあまりないけど、別に不便はない。

今日もまた「かーしむかーしむ…」と、苦し紛れに話しだすんだろうけど、
また宝石箱をぱかっと開けてみせてくれる日を楽しみにしている。
小出し王子よ。

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