日中のプロジェクトの一環で日本に出張した一心は、実父の家を訪れます。しかし、この訪問が原因で、以前から一心の能力や活躍に快く思っていなかった同僚の奸計（かんけい）により、産業スパイとして告発されます。そのためプロジェクトから外されて内蒙古の製鉄所へ左遷させられてしまいます。
やがてスパイという濡れ衣が解けた一心は、再びプロジェクトに復帰します。親子は一緒に働くことになるのです。そして製鉄所が稼働し始めます。
養父の徳志は一心に対して、実父松本を誘って長江下りをしてはどうかと勧めます。船上で松本は一心に日本へ来て一緒に暮らしてはどうかと提案します。一心は二人の父親から受けた愛情に揺れ動きますが、「自分はこの大地の子です」と答え、中国に残って「働き続けること」を松本に伝えるのです。
「働くこととは」、「生きるとは」というテーマが躍動する見事な作品です。
