とにかくいつも「新しい自分」になりたくて、つまりは今までの自分を無かったことにしたくて、常に変身願望を持って生きてきた気がする。
方法は姑息なものから手っ取り早いもの、自虐的なものまでネガティブなラインナップ。
携帯の番号もアドレスも変えてみたり、ＰＣのアドレスを変えてみたり、そうすることで生きてるのか死んでるのか分からない程度のつながりしか無い人間を勝手に切り捨てた気分になってみたり。
髪型を変えてみたり、服の趣味を変えてみたり、突然10万円くらいどさっと買い物三昧してみたり、続きもしない日記帳を新調してみたり、筆記用具を変えて運気アップを図ってみたり。
終わりの無いダイエット宣言を繰り返してみたり、レーシック手術をして眼鏡を外してみたり、こうなったらとことん変わってみようとコスプレしてオタクイベントに参加してみたりと、あらゆる方向へ脱線していった。
が、自分は自分に過ぎないわけで。
それ以上でも以下でもなく。
努力して向上するもの、怠けて下降するものはあれど、土台にある自分自身はなんら変わりない。
それでも、変わりたい――――― 変身願望。
三十路後半に入り、予想外だった子供にも恵まれて、人生を投げやりに自虐的にばかり過ごしてきた私が一人の人間を育てているっちゅーだけでも相当な「変身」だ。
酒と柿ピーで夜な夜な飲んだくれていた頃、酒のツマミに松屋でどんぶりメシ買ってきてとオットに頼んでいた頃から想像すると、毎日台所に立つ我が姿はもはや奇跡だとオットはむせび泣く。まぁな確かに。
が、欲深すぎる私はまだ持っている。変身したいのだ。どんな風に？
英語が話せないから外人の知り合いなんぞ一人も出来やしない。話せるようになりたい。自分の知り合いというより、カンカンの世界を広げてやりたい。
知り合いの日本人ママたちは多分、どんどん色んなサークルに出かけていって、アドレスを交換したりFacebookで繋がったりし始めてる。きっと皆も「何かやらなきゃ」的なことを考えてるのかも知れない。特に期間限定で海外生活をしている人はその気持ちが強いのだろう。
しかし英会話がどうとか言う前に、仮に日本にいたとしても、私の場合は人付き合いが苦手過ぎて同じ結果だったかも知れん。いつも思うのだ、英語でうまいこと言えなかったとき、じゃあ日本語だったら何て言ってただろうかと想像すると……結構出てこない。だめじゃん。
たった３年間だけど、日本を離れて生活するという貴重な経験ができていて、仕事のお陰で便利な場所に住むことができて、カンカンにも広いスペースを用意してやれて、さてこれ以上何を望むのか？
何かが欲しいという欲望というよりは、それだけ有難い恵まれた環境にいるにも関わらず、それに見合った努力や成長が自分に無いことがもどかしい、のかも知れない。
うーん、とすると変身ではなくて、自分は自分のまま、もっと自分を磨くしかないってことか。
コスプレで性転換したところで私が望んだ変身はできないわけだ。
日本に帰ったとき、有意義で楽しい３年間だった！とさらにステップアップすべく頑張るのか、いったい３年間何をやってたんだろう何一つ身についていないじゃないかと嘆くのか。
カンカンにどれだけのことをしてやれるのか。
これから色んなことを選択、決断していくのはカンカン自身だけども、できるだけ多くの選択肢を示してやるのは私たちの仕事だ。
……いやもういいや、オットの仕事にしよう（爆）
せいぜい私にはコスプレ庶民ランナーか、仮想世界（オンライン）の変態魔法使いあたりが似合ってるわ。
